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インフルエンサーマーケティングの成功事例に学ぶ3つの重要なポイント

                   
マーケティング
公開日:2019.01.05更新日:2023年4月20日

インフルエンサーマーケティングの成功事例に学ぶ3つの重要なポイント

海外で盛んに行われているインフルエンサーマーケティングだが、国内でも徐々に導入する企業が増えている。今回はインフルエンサーマーケティングを導入・運用するにあたって参考となる成功事例を取り上げ、実際にどのようにインフルエンサーマーケティングを活用すれば効果的な成果をあげることができるのか説明しよう。

インフルエンサーマーケティングとは

インフルエンサーマーケティングとは、SNSやインターネット上などにおいて世間に対して高い影響力を有する人物(インフルエンサー)を通じてキャンペーンや情報発信を行うことによって、売上拡大やブランドイメージの向上などを狙うマーケティング手法である。

スマホ等からインターネット経由で商品やサービスを探し出し、購入するのが当たり前になってきた現代でも、目にせず手に触れられない商品等の購入には多少の不安は残る。しかし、友人・知人や自分が尊敬・親しみを抱いている人などからの口コミで商品を紹介或は推薦されると見たことのない商品等に対しても不安は和らぐ。

このように他者の購入の意思決定に影響を与える人を「インフルエンサー」という。インフルエンサーマーケティングでのインフルエンサーは、自ら情報発信しているブロガーやインスタグラマー等の中で多くのファンから注目され、ネット上で高い影響力を有する者を指すケースが多い。

インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーの口コミ等による影響力を利用してその企業のブランド認知の向上や商品サービスの利用の拡大などを目指すための手法である。

インフルエンサーマーケティングの成功事例

ここでは3社の成功事例を紹介する。

事例1:SKYY(スカイウォッカ)

SKYYは米国有数のスピリット企業のCampari Americaで製造されているウォッカで、比較的早い時期からインフルエンサーマーケティングが利用されている。

インフルエンサーとしては、著名ブロガーやインスタグラマーだけでなく、一般人やスモールビジネスとのアンバサダー・コミュニティの利用もみられる。

SKYYのインフルエンサーマーケティングの概要

  1. ターゲット
    ミレニアル世代
  2. 目的
    ファッションとのコラボレーションによる口コミの波及、ファッションからライフスタイルへの戦略的なファン層の拡大や、アンバサダー・コミュニティの形成による関係強化が目的とみられる。
  3. インフルエンサー
    有名なファンションブランド、著名なインスタグラマーやYoutubers 、ゲームチャンネル監督 などである。また、SKYY のライフスタイルプログラムである「SKYWAY」を通じて一般人やスモールビジネスとのアンバサダー・コミュニティの利用もある。
  4. プロモーション
    ホリデーシーズン等でファンションやライフスタイルなどデジタルスターとの共同プロモーションが展開されている。なお、ファッション分野での組み合わせでは必要以上のブランド露出は行われない。また、SKYWAYの会員になれば、多様なライフスタイルの情報やキーマンとのアクセスが可能となり、SKYYのブランドアンバサダーとして活動することもできる。つまり、一般人を自然にブランドアンバサダーへと誕生させる仕組みがあり活用されている。
  5. 効果
    例えば、インスタグラムを使った口コミの波及では、Instagramのフォロワー数は約3.2万人だがSKYYの投稿数は12万件超となっている。

参考資料:
@SKYYVodka
Join SKYYWAY | By SKYY Vodka
Campari America
3 Ways Brands Are Marketing On Instagram For The Holidays

事例2:S.P.I group

S.P.I. Groupはウォッカ「Stoli」の製造元で、 Stoliは80年以上にわたり世界中のウォッカファンに親しまれている。

Stoliは80年以上という息の長いウォッカの代表的なブランドであり、S.P.I. Groupはこのブランドの継続的なリニューアルが必要と考えている。そのため彼らは消費者や販売業者にフレッシュなイメージを抱いてもらえるようにインフルエンサーマーケティングを積極的に活用しているのだ。

例えば、S.P.I. Group が「Elit」 というブランドを投入した時に、 Instagramのインフルエンサーを活用した。Instagram上でスタイルを意識する男性をターゲットとして、2人のメンズウェアのブロガーによるElitのアピールが成功している。ほかにも消費者とのコミュニケーションの改善や多数のパートナーとの協調でリブランディングを実現しており、以下にその事例を紹介する。

  1. ターゲット
    グルテンフリーを求める消費者やニューヨーカー
  2. 目的・期待効果
    Stoliのリブランディング。グルテンフリーウォッカという新商品で、リブランディングと成長するグルテンフリー製品市場での需要の取り込みが目指されている。
  3. インフルエンサー
    ①フード・飲料系インフルエンサー(グルテン・フリー)、配送業者、小売店、バーテンダー、レストラン・オーナー等
    ②グルテンフリーの専門家のニコル氏
  4. プロモーション
    ①インフルエンサーや利害関係者から継続した情報収取が実施される。また、新しい人材の採用や社内チームの設置によりプロモーションが推進された。
    ②グルテンフリーレストランで製品に関するローンチイベントが開催される。ニコル氏が運営するニューヨークのグルテンフリーレストランに関する情報ブログでそうした情報が発信された。

結果
2015年度のウォッカ業界の販売は伸び悩んだものの、 S.P.I. Groupは5%近い伸びを実現した。
以上の結果はS.P.Igroupが消費者、配送業者、小売店等を巻き込んでマーケティングプロセスを改善した結果である。これは彼らが市場ニーズを理解した上で商品開発を行い、販促キャンペーンを実施した成果といえるだろう。

参考資料:
Budweiser, Stoli Raise the Bar (and a Glass!) With Influencer Marketing
How Stoli Streamlined Communication Across In-house and Agency Teams to Cut Spending on Creative Execution by 30%

事例3:メイベリンニューヨーク(日本法人)

メイベリンニューヨークは1915年に創業した米国の老舗でトップクラスに属する化粧品企業だ。その日本法人でもファッションブロガーとの関係を作り、彼らに記事を書いてもらう取り組みが実施されてきている。そして、InstagramなどのSNSの利用が進む現在においてはさらに彼らとのコミュニケーションの拡大がみられる。

ここではインフルエンサーマーケティングと他のプロモーション活動とを組み合わせて成功した事例を紹介する。

  1. ターゲット
    ミレニアム世代の10代~20代前半の女性
  2. 目的
    新作コスメのブランド認知
  3. インフルエンサー
    プロモーションのパーティーに参加したモデルや女子高生など
  4. プロモーション
    ウェブ、冊子、リアル店舗による連動したプロモーションが実施された。イベント限定の冊子が制作され、輸入生活雑貨店である「PLAZA」の全国10店舗で配布されている。また、メイベリンニューヨークのショールーム「メイベリンハウス」では、新作コスメの体験、モデルとの撮影も可能なクローズドパーティーが開催された。このパーティーには現役女子高生など約100人が参加している。また、エージェントによるイベント記事などの配信でキャンペーンの拡散も展開された。
  5. 結果
    成功の一つとして、メイベリンハウスでのクローズドパーティーに参加したモデルや女子高生などが多くの写真をSNSへ投稿している。Instagram上にハッシュタグ「#maybellinehouse」の投稿が約200件、新商品のキャッチコピー「#まつげにガールズパワー」の投稿が72件という実績を得た。

以上のようにリアルとデジタルの両面からのプロモーション、多方面からのターゲットへのアクセスといった活動が企画・実施されて成功に結び付いた。

参考資料:
「インスタ映え」ショールームでインフルエンサーとの関係深化!ブランドマーケティングに新機軸を打ち出した「メイベリン ニューヨーク」の取り組みとは?
【企業担当者に聞くSMM最前線】- SMMLab(ソーシャルメディアマーケティングラボ)

インフルエンサーマーケティングの成功するための重要ポイント

インフルエンサーマーケティングは、まだ完全に体系化されていないため、導入する上では一般的なコミュニケーション戦略の考え方が参考になるだろう。そのコミュニケーション戦略では次のプロセスが一般的に採用されている。

  1. ターゲットと目的の明確化
  2. インフルエンサーとWebメディアの適切な選定(予算決定、マーケティングミックス)
  3. 社内・社外の運営体制(プロセスの継続的な改善)

上記のプロセスを踏まえてインフルエンサーマーケティングの実施を検討する場合、その成功に欠かせない重要な要素として以下の点が挙げられる。

ターゲットと目的の明確化

まず、情報を届け、伝えたいターゲットを明確にしなければならない。例えば、「フルーティーなマティーニを作りたい・飲みたいと思っている20歳~35歳の女性」といった設定である。

インフルエンサーをフォローする人の中には自社の商品・サービスに関心のある人も、反対に全くない人もいる。また、関心の有無以前にそれらを購買する機会のある人や全くない人などもいる。インフルエンサーのフォロワーの中で上記のようなターゲットが多ければSNS上等での良好な反応が期待できるはずだ。

そのためには、まず、インフルエンサーマーケティングにおけるターゲットを明確に設定する必要がある。

次に情報を伝えたい者にどのような反応を起こさせるという目的を明確にしなければならない。

  • 自社商品等を認知させる
  • 好意的に感じさせる
  • 購買行動へと促す
  • ファンにする

具体的には、こういったアクションを行わせることが目的である。

ターゲットと目的の内容によって、インフルエンサーや利用するメディアのタイプや内容も変わってくる。例えば、上記の女性のターゲットの場合、新商品のスピリッツの認知度を高めるにはどのインフルエンサーが適切で、どのメディアを利用すると最も効果的かという検討が必要となる。

ターゲットや目的を前提としてインフルエンサーマーケティングを設計することを忘れてはいけない。

インフルエンサーとWebメディアの適切な選定

上記でも触れているが、ターゲットと目的、そしてどの程度の効果を期待するかを考慮して、それに適した最良のインフルエンサーとWebメディアを選定しなければならない。

インフルエンサーも男女、年齢、情報発信等の分野、フォロワーの数・質・構成、使用するSNS等のWebメディアが各々異なる。当然、自社の商品・サービスや目的に合う、合わないインフルエンサーが存在するので、インフルエンサーの特徴をしっかり分析して依頼する必要がある。

また、メディアの使い分け・選定も重要だ。依頼したインフルエンサーが通常利用しているWebメディアで目的に対する効果が得られることもあるが、そうでないケースも十分にあり得る。例えば、他の商品との性能の違い、形状や色の素晴らしさをターゲットにアピールしたい場合、Twitterによるテキストベースで情報発信しても内容は伝わりにくい。

それよりもInstagramで、さらにInstagramよりYouTube、というように画像・映像を利用したほうがより高い効果が期待できるだろう。

また、ケースによってはソーシャルメディアを使わないほうが良いこともある。例えば、日本での高齢者向けの商品・サービスだ。SNSの利用率は年々増加する傾向にある日本だが、高齢者の利用率はまだ低い。つまり、ターゲットの高齢者層に最も情報が届きやすいメディアの選定が必要になるはずだ。

社内・社外の運営体制

インフルエンサーマーケティングを成功させるには、インフルエンサーだけに情報伝達を任せるだけでなく、自社も関与することが重要であり、社内・社外チームでの取り組みが求められる。

「エージェント(代理店)やインフルエンサーに依頼すれば、それでPR効果が得られる」として、依頼後は関与しない企業もある。つまり、彼らに情報伝達を依頼した後はお任せになるわけだ。もちろんクリエイティブな役割を担うインフルエンサー等の自主性を尊重することは重要だが、PR効果等を高めるには企業として協力やサポートなどのするべきことはある。

インフルエンサーが自社の商品・サービスを好意的にかつより魅力的に情報発信してもらうには、彼らに気に入ってもらえるような情報提供やサンプル提供なども必要だ。商品等の内容、特徴、使用の仕方、他社品との違いなどの説明資料、画像・映像データ等の提供なども重要となる。

こうした協力や支援を効果的に実施するためには、インフルエンサーマーケティングを企画し実行するためのチームが必要となるはずだ。インフルエンサーマーケティングをマーケティング戦略の一環として行うにはそのチームを明確な組織として編成し、マネジメントしなければならない。また、インフルエンサーマーケティングを遂行するにあたっては、社内チームだけでなくサプライチェーンのメンバーなど他の利害関係者も巻き込みながら活動することも重要になるだろう。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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