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ビジネスで重要なペインポイントとは?顧客ニーズとの違いと具体例を解説

                   
リサーチ
公開日:2019.03.04更新日:2023年4月20日

日本市場は縮小傾向にあり、現状維持ではビジネスは縮小し、やがては淘汰されてしまう。生き残るには新規事業に挑戦し、新しい収益の仕組みをつくらなければならないが、そのアイデアがなかなか難しい。
新規事業のアイディアは「顧客ニーズ」にそのヒントがあるといわれているが、はたして本当だろうか?

今回の記事では、新規事業のアイディアの見つけ方について、顧客ニーズ以上に大切な「ペインポイント」とは何なのか、事例を交えながら解説しよう。

 

新規事業のアイディアは「ニーズ」ではなく「ペインポイント」にヒントあり

「必要は発明の母である」とよくいわれている。必要となるサービスや欲しいもの(顧客ニーズ)を探り当て、それを解決する手段を開発するのが、発明につながるのだ。

しかし、新しい収益の仕組みを作ることを目的とする新規事業では、「顧客ニーズ」だけでは弱いということを、まず念頭に置いて欲しい。

その顧客ニーズに本当に対価を支払うか?

そもそも、顧客ニーズという言葉をどのように捉えているだろうか。

  • コストを削減したい
  • 生産性を上げたい
  • 売り上げを伸ばしたい

こうした要望は、誰に聞いても”NO”と言わない。
しかし、ここで気をつけたいのは本当にそのニーズを「対価を支払ってでも解決したいかどうか」と考え直して欲しい。

顧客ニーズは「あれば便利」というレベルだからだ。このレベルの顧客ニーズを解決するために、新規事業のアイディアを出すというのは実はかなり危険である。

ペインポイントとは、「お金を払ってでも解決したい悩み」

そこで新規事業のアイディアは、顧客ニーズを超える「ペインポイント」から出すべきである。

ペインポイントとは、「お金を払ってでも解決したいポイント」のことを言う。「ペイン」は痛みのことで、その痛みを取り除くためにお金を払うというわけだ。

どのように優れた新規事業でも、「ペイン」を解決できなければ市場には認められないし、受け入れられない。お金を出してでも解決したい「ペイン」があってこそ、新規事業のアイディアの種となるのだ。

なぜ、顧客ニーズ以上にペインポイントが重要視されるのか、先行する事例から紹介しよう。

新規事業のアイディアの種「ペインポイント具体例1」

消費財大手のP&Gが手がける消臭剤の「ファブリーズ」は、実はこのペインポイントを明確に捉えている。

ファブリーズは消臭スプレーから始め、据置タイプ、トイレ用製品、ペット用製品など、さまざまな種類が発売され、シェア5割を超えるヒット商品となっている。

さて、このファブリーズはどのような方が使っているとお考えだろうか?

「きれいで清潔感のある家に住む人」や「綺麗好きな人」と思われるかもしれないが、実際は違う。
ベッドや床が着古した衣服に埋もれているような、部屋の散らかった、「片付けができない人」がヘビーユーザーだったのである。

「洗濯が面倒くさい」というペインポイント

なぜ、「片付けができない人」がヘビーユースするのか考えてみよう。

そもそも、ファブリーズには布に染み付いた臭いを取り除く効果がある。従来このような臭いを取り除くには、洗濯するしか方法がなかった。しかし、片付けができない人たちは、洗濯という「洗う」「乾す」「畳む」の一連の行為が面倒でやりたくないのだ。

「臭いが取りたいが、洗濯はしたくない」
この『洗濯』という行為がペイン(痛み)だ。洗濯ができないユーザーは、その痛みに耐えていたのである。

そこに「ファブリーズ」が登場した。ファブリーズは「洗濯しないといけない」というペインポイントを、一吹きで解消することができる。つまり、お金で解決する手段を提供したのだ。

故に、市場に受け入れられ、ヘビーユーザーが出現し、ロングヒットとなっている。

新規事業のアイディアの種「ペインポイント具体例2」

もう1つペインポイントを解消して売れている商品を紹介する。味の素の「CookDo(クックドゥ)」だ。時短料理として急速に市場を拡大している。共働きなどで料理にかける時間がなくなっており、手軽においしくつくれることが売れている理由だ。

しかし、料理そのものの手間を省くだけであれば、冷凍食品や出来合いの惣菜でもかまわないはずだ。それでも、CookDoは年間500億円ほどの売上がある。これだけの市場規模になっているのは、主婦のペインポイントを解決しているからだ。

「手抜きと思われたくない」というペインポイント

冷凍食品や惣菜では、家族(夫・子供・祖父母など)に「手を抜いている」と思われてしまう。かといって、手料理だと、共働きで疲れている上に、時間もないので難しい。

「手抜きと思われたくないが手料理はできない」
これが主婦のペインポイントだったのである。

このペインポイントに対してCookDoは、材料を切って入れるだけで料理が完成するという解決策を提供している。主婦に「野菜などの下準備をした」と感じさせ、手抜きではないと納得させつつ、「時短」を実現しているのである。

「ママが料理してくれた」「妻の手作り」と思われたいがゆえに、このペインポイントに主婦はお金を払って解決しているのだ。

まとめ:新規事業のアイディアの種「ペインポイント」は見つけにくい

新規事業の種は「ニーズ」ではなく「ペインポイント」にある。ならばそのペインポイントを見つけ出せば、新規事業のアイディアが次から次にでてくるだろう。しかし、そう簡単な話ではない。

なぜなら、ペインポイントはなかなか表に出てこない。つまり、見つけにくいのである。

しかし、見つけにくいが故に、ペインポイントを発見し、それを解決する方法を提供できれば、大きなビジネスになるチャンスが眠っている。加えて、ペインポイントの解消には中毒性がある。ファブリーズは1回使うと、そのまま使い続けることになる。だからこそ、ロングヒットになるのだ。

「ペインポイント」から開始した新規事業は、成功の確率が高いのである。

最後に、ペインポイントを探すときには、以下の2点を気をつけて欲しい。

  1.  当たり前と思っていることを疑ってみること
  2.  痛いことを「痛い」と感じること

痛いことを痛いと感じないと、そこに「ペインポイント」があることにすら気がつかない。新規事業のアイディアで困っているなら、ニーズを探るよりも、お客様のペインポイントを探ってみよう。そこに大きなチャンスが隠れている。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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