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消費財メーカーが今デジタルトランスフォーメーションに取り組むべき3つの理由とアクション

                   
AI・人工知能
公開日:2018.01.22更新日:2018年1月31日

75338825 – business, technology, internet and network concept. young businessman working on a virtual screen of the future and sees the inscription: business transformation

ITの進展に伴い、消費者の行動は急激にデジタルファーストに向かっている。メーカーやサービス事業者は、今デジタルトランスフォーメーション(デジタル変革のことで「DX」ともいう)の脅威に晒されていると言っても良いだろう。海外を見れば、一見デジタルとは遠いような消耗品メーカーも、デジタルトランスフォーメーションを行っている。

ここではデジタルトランスフォーメーションの内容とともにその実現に不可欠な技術の活用に着目し、メーカー等の企業がAIなどを取り入れるべき理由を述べつつ、どう取り組むべきかを説明しよう。

デジタルトランスフォーメーションを支えるAI技術

1.デジタルトランスフォーメーションとIT化の違い

デジタルトランスフォーメーションとは、デジタル化によってこれまでのビジネスモデルを破壊的なまでに変えて、利用者に新しい価値を生み出す変革の流れといえる。まず、2つ有名な事例を紹介しよう。

UBER(ウーバー)は、マイカー保有者と送迎ニーズなどをマッチングさせているが、タクシー会社の様に自動車を保有管理していないにもかかわらず、実質的には世界で最も大きなタクシー会社になっている。

Airbnb(エアビーアンドビー)は、世界中に宿泊施設を提供している世界最大の宿泊事業者だ。しかし不動産としての宿泊施設を一つも持っていない。Airbnbが提供しているのは民拍の仲介サービスだ。

UBERもAirbnbもこの10年で世界市場を席巻している。デジタルトランスフォーメーションは既存産業を破壊するほどのインパクトがある。

ITの活用によって、事業での品質・コスト・納期が改善され、業績の向上に結び付くことは多いが、これだけではデジタルトランスフォーメーションとは言えない。デジタルトランスフォーメーションは、単にITを活用するのではなく、企業活動の全てをデジタルで構成し、利用者に新しい価値を提供することを最優先する。そして、既存の商品・サービスの脅威になることを恐れず提供する。従って、デジタルトランスフォーメーションでは従来のビジネスプロセスを前提として変革するのではなく、ビジネスプロセスを根本から見直すことが求められる。既存の経営資源をどう活用するかという視点は、およそ役に立たない。

デジタルトランスフォーメーションによる市場の創造的破壊

デジタルトランスフォーメーションの先駆けとして、Amazonのネット書籍通販ビジネスがよく挙げられる。同社の特徴は、実店舗を持たずにデジタルのみでバリューのあるビジネスを構築している点だ。

  • 圧倒的な品揃え
  • 低コスト
  • 迅速な配送
  • 最新のIT技術を活かした検索のしやすさ
  • 購入履歴に基づく商品案内
  • デジタル書籍販売などのサービス

こういった特徴を持つ同社の成長によって、従来の実店舗でも書籍販売は苦境に陥った。2017年9月に米トイザらスが経営破綻に陥ったが、Amazonの玩具販売の好調さが大きく影響したと報じられた。今後、Amazonが市場にもたらすデジタルトランスフォーメーションは、書籍や玩具だけに留まらず、家具や自動車、あるいは住宅にも及ぶかもしれない。

デジタルトランスフォーメーションはデジタルディスラプション(創造的破壊)を伴う。例えて言えば、デジタルディスラプションとは、かつての銀塩カメラがデジタルカメラに取って代わる様な構造的な破壊が極めて短期間に起こる様なものだ。

デジタルディスラプションをもたらすほどの成功した企業は、既存市場のビジネスプロセスを崩壊させ、市場リーダーとなって大きな企業価値となる。2017年のUBER(ウーバー)の企業価値は約8兆円で、Airbnbは約4兆円に上っている。IT活用によって業務改善は達成できても業界勢力図を塗り替えることは困難だ。しかし、デジタルトランスフォーメーションに成功すればそれは可能となる。

2.デジタルトランスフォーメーションの実現に必要なモノ

デジタルトランスフォーメーションの実現には『第3のプラットフォーム』と言われる、4つの要素の利用が欠かせない。

  1. モバイル
  2. ソーシャル
  3. ビッグデータ
  4. クラウド

そして、これらの要素を支える技術には、IoT(モノのインターネット)、ネットワーク、データの大量・高速処理やセキュリティなどの技術があり、AI技術もその欠かせない1つである。

AI技術などの利用により、人やモノなどから個々の情報が収集され、隠れていたニーズや問題などが見える化される。そして、情報はビッグデータやナレッジなどと融合し分析され、商品化、ターゲットの選定、生産性向上などの新たな価値へと変換される。つまり第3のプラットフォームを軸にして、今までにない顧客体験を創出し、顧客価値が高まれば高まるほどネットワーク効果が大きくなる様に実現できるビジネスプロセスをつくる。これら顧客体験を継続して生み出すエンジンとして、AIの活用が鍵となる。

消費財メーカーがAIを取り入れるべき3つの理由と取るべきアクション

ここでは、デジタルトランスフォーメーションのエンジンとなるAIに着目し、その活用すべき理由とデジタルトランスフォーメーションの実現に向けて取り組むべきことを紹介しよう。

1.消費者行動の変化

モバイルから情報を自ら収集して、ネット上で購買する消費者層が拡大し、その購買情報を自身のSNSで発信する消費者が増大している。この購買行動の変化が消費財メーカーの業績に多大な影響を与えている。

消費財メーカーのデジタルトランスフォーメーションでは、SNSを含むビッグデータなどから広範囲で大量の顧客体験データと商品開発を組み合わせていく事例が出始めている。AIを活用することで、それらのデータを分析し顧客も気づかない隠れたニーズを掘り起こし、新商品やサービスの予測、最適価格の設定、新しい提供方法などを提案できる様になる。つまり、AIの活用は販促だけでなく、今までにない商品開発や新規事業の推進に繋がるのだ。先述のAmazonはメーカーと協業してこの取り組みに着手している。

2.消費者とのコミュニケーションの変化

お客様相談室やコールセンターなどには多様な問い合わせやクレームという情報が入ってくる。これまで、こうした情報の分析・活用には専用の分析ツールが活用されてきた。

AIを利用した自動応答チャットや自動音声応答のサービスを導入すれば、質問等への迅速かつ的確な応答が実現され、顧客満足度は高まる。さらコミュニケーションによって入手した情報をAIで分析しCRMシステムなどと連携して活用すれば、顧客ごとにカスタマイズした商品・サービスの提案もできる。これまでマス向け商品では、ひとりひとりの顧客向けに商品をカスタマイズしたり、個別対応したりするのはコストが合わなかったが、デジタルトランスフォーメーションによってその実現は現実的になってきている。

つまり、AIの活用によって問い合わせ等の情報をもとにワン・トゥ・ワンマーケティングやパーソナライズドサービスの提供、新商品・新サービスの開発などが可能となる。その結果、顧客との関係は深まり他社との差別化も実現できるだろう。

3.デジタルトランスフォーメーションは顧客価値と競争力を高める生産プロセスの変革に有効

過去の製品の出荷量・販売量、天候・温度、季節などのデータを活用できる様に、デジタルトランスフォーメーションを実現していくことで商品のリアルタイム需要予測も可能になる。これまで経験豊富な専門担当者に依存してきた需要予測が、AIの活用で誰でも適切に行えるようになり、的確な生産計画の立案・実施とともに適正在庫も実現されやすくなる。顧客が欲しいと思う商品を欲しい時に欲しい数量で提供できれば、顧客の満足度は高くなる。

また、品質管理や保守管理などの領域でもIoTやAIを活用することで、生産性は劇的に向上できる。熟練検査員の目視や触診に依存してきた検査工程でも、不適合品の画像をAIに機械学習させた自動検査システムに置き換えることは可能だ。検査精度の維持向上により、不適合品の流出による他工程への影響やリコールを回避できれば、生産性と競争力は格段に向上する。

このように、デジタルトランスフォーメーションは、全てをデジタル中心で考え、全てをデジタルで実行することである。

まとめ

ITの進展で消費者の購買行動は大きく変化した。ミレニアル世代を中心にデジタルネイティブ消費者が世界的に増える中、企業もデジタルネイティブな取り組みが求められる。また顧客に新たな価値を提供し新たな成長機会を得るには、よりシームレスな顧客ニーズの把握、顧客との良好なコミュニケーション、効率的な生産システムなどが欠かせない。そして、それらを可能にするのがAIなどの活用を含むデジタルトランスフォーメーションの実現に向けた取り組みなのだ。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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