エシカル消費とは?|エシカルコンシューマーへの対応を企業が行うべき4つの理由とその行動
公開日:2018.01.22更新日:2018年1月30日
「エシカル消費」という言葉を耳にする機会が増えたと感じる方も多いだろう。社会や環境に配慮した購買行動を取るというエシカルコンシューマーが、2000年以降に成人したレニアム世代でも増加しているのだ。
ここではエシカル消費の内容を説明するとともに、今後さらに増加が予想されるエシカルコンシューマーに対して企業がどう向き合うべきかを紹介していこう。
エシカル消費とは
エシカル(Ethical)とは、「倫理的」や「道徳的」などを意味する言葉だ。
- 環境や安全に配慮されている
- 環境への負荷が少なく製造されている
- 省エネに優れている
エシカル消費とは、こういった製品や商品などを優先的に購入・使用する行動などを指す。
製品及びその原料、製造過程、廃棄までの製品ライフサイクル全体がエシカルであるかが評価され、該当するものが購入される。また、貧困問題の解決に役立つ購買なども含まれる。
さらに、フェアトレード製品を購入する態度もエシカル消費に該当する。例えば、不当に安い賃金で働く労働者や児童など社会的弱者によって製造された製品を購入しない消費態度などになる。
エシカルコンシューマーの登場
エシカルコンシューマーとはエシカル消費を行う消費者を指す。エシカルコンシューマーは、より良いものをより安く購入するという利己的な消費者ではなく、消費行動がどう社会に影響を与えるかを認識できる消費者である。彼らは消費を通じて環境、貧困、児童労働、高齢化、雇用などの社会課題の解決に貢献する消費者といえるだろう。
企業がエシカルコンシューマーに対応するべき4つの理由
こうしたエシカル消費を行うエシカルコンシューマーに対して、企業が対応を迫られている理由は、大きく4つある。
- エシカル消費の世界的普及
- 社会問題の解決は企業にとっても重要な課題
- 日本国内でのエシカル消費への関心の高まり
- エシカル消費への対応は企業の成長要因
それでは、ひとつずつ見ていこう。
1.エシカル消費の世界的普及
エシカル消費の考え方は英国の非営利団体が創刊した雑誌「エシカルコンシューマー」により広まり始めたといわれている。
例えば、同雑誌はエシカル消費の促進に向けた製品ガイドを出し、倫理的に好ましくない企業の製品やサービスをボイコットするためのキャンペーンなどを実施している。こうした活動が英国全土に広がり、米国など他の国でも注目されるようになってきたのだ。
2.社会問題の解決は企業にとっても重要な課題
2015年9月に国連総会で世界的な社会問題の解決に向けた「持続可能な開発目標」 (SDGs)が採択されている。それを受けて各国は「貧困、不平等・格差、気候変動のない世界を目指す17の目標」を達成するための行動をとり始めており、企業もその対応に迫られているのだ。
また、世界的にCSR(企業の社会的責任)の一環として社会や環境に配慮した行動、社会貢献をすることを重視する企業が増えてきた。欧州では欧州委員会の新成長戦略「欧州 2020」でCSRが盛り込まれている。各国でCSRの基準化が進み、CSRが取引条件や競争手段として位置づけられグローバルな事業展開に不可欠な行動となっているのだ。
3.日本国内でのエシカル消費への関心の高まり
国内でもエシカル消費の考えが広まりつつあり、株式会社デルフィスの「第 4 回エシカル実態調査(2014 年 8月)」でそれが確認できる。例えば、「エシカル」をGoogleで検索する調査では、2010年9月が4.6万件だったものが、4年後の2014年8月には42万件と大幅な増加となっているのだ。
2011年の東日本大震災の経験などにより国民の社会貢献意識が高まり始め、そうした動きに対応するため2012年に「消費者教育推進法」が制定された。2015年4月には消費者庁によってエシカル消費の研究会が設置され、2014年5月に「日本エシカル消費推進協議会」が発足している。また、エシカルファッションショーやエシカル消費講座などが開催されるようになってきたのだ。
4.エシカル消費への対応は企業の成長要因
SDGの達成に向けた行動で年間12兆ドル相当の市場価値や、2030年までに3億8,000万人程度の雇用創出が期待されている。この中にはエシカル消費に関連する分野も当然含まれるので、企業が取り組む理由として十分のはずだ。
また、国民のエシカル消費への関心が高まり、同程度の価格、性能なら環境・社会に優しい製品を選ぶという消費者は今後も増加することが予想される。そのため企業がそれに対応すれば新たな成長機会を手に入れられるだろう。例えば、タクシー配車サービスのUBERや民泊のAirbnbなどシェアリングという形態で貢献し業績を伸ばす企業も登場している。
エシカルコンシューマーへの対応
1.製品の良さとエシカル面の両方で消費者にアピールする
エシカルコンシューマーの支持を得るには販売するモノ自体の魅力も必要になる。製品を実際に手にして、使用して、「使い心地がよい」「かわいらしい」「かっこいい」「すごく便利だ」などと感じさせる機能、デザイン、品質が求められる。
加えて当然のことながら、エシカルな面の訴求も不可欠だ。
- 環境・社会に優しく作る、提供する
- 貧困問題の解決に貢献できる
- 不公平な取引がない
- 児童労働・不法労働がない
こうした点をアピールすることも欠かせないだろう。
この製品の魅力とエシカル面の両方をバランスのよいストーリーにしてエシカルコンシューマーにアピールすることが重要になる。
2.高年齢世代と若い世代をターゲットとする
株式会社デルフィスや「倫理的消費」調査研究会など各種団体の調査では、概ね高年齢層と若い年齢層のエシカル消費への関心度が高くなっている。企業としては彼らをターゲットとするべきで、特に次世代の消費の中心をなす20歳台・30歳台のミレニアム世代への対応は重要になるはずだ。
デジタル技術を活用したコミュニケーション手段などでニーズを捉え、エシカル面と品質・機能・デザイン面の両方で彼らの心を掴む必要があるだろう。
まとめ
世界的にエシカルコンシューマーが増加しつつある。そのため企業も彼らのニーズに応えられるビジネス展開が必要になってきた。日本国内でも高齢者層のほか次の消費の中心となる20歳台・30歳台のエシカル消費への関心は高い。エシカル面と品質・機能・デザイン面の両方を製品・サービスに反映させてエシカルコンシューマーを取り込んでいければ新たな成長も期待できるだろう。
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この記事の監修者
株式会社フィンチジャパン 代表取締役
早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。
出版
PR Times記事
『https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>』
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