定量調査と定性調査の違いとは?それぞれの使い分け方を解説
公開日:2023.03.28更新日:2024年9月24日
市場調査の方法には、定量調査と定性調査の2種類があり、目的に応じて適切なものを選ぶことが望ましい。
とはいえ、どのような場面で使い分ければよいか、迷ってしまう方も少なくないだろう。
そこで本記事では、これから市場調査を始める予定の方に向けて、以下の内容を具体的に解説する。
<この記事でわかること>
- 定量調査と定性調査の違い
- 定量調査の特徴
- 定性調査の特徴
この記事を読むことで、2つの手法の違いを理解し、適切な調査方法を判断することができる。
ぜひ、貴社の市場調査業務にお役立ていただきたい。
市場調査の種類
市場調査には「定量調査」「定性調査」の2種類がある。
【市場調査の種類】
- 定量調査
- 定性調査
ここからは、2種類の調査方法の概要について紹介する。
定量調査
定量調査とは、数値化できるデータを集める調査方法だ。
「はい」「いいえ」で答えられるような簡単な選択肢から回答を選べる質問項目によって、回答の傾向を数値化し、調査結果に現れる数値としてのデータを統計化する。
定性調査
一方、定性調査とは、個人の考えや感じ方、心理的動向を掴むための調査方法だ。
調査内容に応じて個人の意見を深く掘り下げるような質問項目を準備し、回答にいたるまでの理由や経緯といった詳細についても聞き取ることができる。
定性調査には、一人の対象者から意見を深掘りする「デプスインタビュー」と、座談会や複数人を集めて質問を行なう「グループインタビュー」などがある。
定性調査は、個人の内面に起こっている複雑な感情や、言動には直接現れない内的志向を調査するのに便利な調査手法だ。
定量調査と定性調査の違い
定量調査と定性調査では、調査の実施目的や、実際にあらわれるデータの種類に違いが見られる。
【定量調査と定性調査の違い】
- 目的の違い
- データの違い
ここからは、定量調査と定性調査の違いについて紹介する。
目的の違い
定量調査は「動向や傾向の数値的把握」「効果測定」を目的に行う。
つまり、定量調査には結果が数値として表れ、顧客の認知度や満足度をデータとして観察できる。
一方で、定性調査は「仮説と結果の背景にある要因の把握」「事象の原因の解析」を目的に行う。
したがって、定性調査では質的な動向調査を行える。
データの違い
定量調査のデータは「〇人」「〇%」というような数値として算出できる。
一方、定性調査のデータは「サービスBによって睡眠の質が向上した」「商品Aによって減量効果を得られた」など、顧客の声を具体的な事象として観察できる。
定量調査の特徴
ここまで、定量調査と定性調査の違いについて紹介してきた。
ここからは、定量調査と定性調査の特徴について紹介する。
【定量調査の特徴】
- 定量調査のメリット
- 定量調査のデメリット
- 具体的な定量調査の方法
まずは、定量調査のメリット・デメリット、具体的な定量調査の方法について確認してほしい。
定量調査のメリット
定量調査は、結果を数値として表現でき、誰もが一目で把握できるデータとして統計化できる点がメリットだ。
定量調査で得られた結果を統計し分析することで、信憑性の高いデータをもとに今後の施策を検討できる。
また、定量調査には莫大な費用がかからず、比較的安価な予算で調査を実施できる点もメリットだ。
定量調査のデメリット
定量調査のデメリットは、数値データを実際の施策に活用する際、数値から得られる情報をもとに現状を正しく理解し、今後の課題点を考察する能力が求められるため、調査を実施する人の能力次第で調査結果が実際に活用可能な情報として有益なものになるかが左右されてしまう点だ。
具体的な定量調査の方法
定量調査の方法としてもっとも普及しているのが、インターネットリサーチだ。
Web上に回答フォームを設け、回答者は簡単な質問項目に回答を入力するだけでアンケートに答えられる。
短時間・低コストでアンケートを実施する際に便利な手法といえよう。
定性調査の特徴
ここまで、定量調査のメリット・デメリット、定量調査の方法について紹介してきた。
一方、定性調査にはどのような特徴があるのだろうか。
【定性調査の特徴】
- 定性調査のメリット
- 定性調査のデメリット
- 具体的な定性調査の方法
ここからは、定性調査のメリット・デメリット、定性調査の方法について紹介する。
定性調査のメリット
定性調査のメリットとして、顧客の感情や考え方について深層まで掘り下げた内容を聞き出せる点が挙げられる。
近年ではインターネットリサーチの普及によって、簡単に莫大なデータを得られるようになったが、数値だけで表される調査結果からは問題の概要しか把握できず、具体的な施策に活用可能な詳細なデータを得ることが難しいのだ。
そうした現状に対し、顧客や利用者の内的動向について詳細な情報を補填するために、定性調査が多くの場面で用いられている。
定性調査のデメリット
定性調査のデメリットは、手に入れたいデータを対象者が持っているかわからない状態で調査を実施するため、調査の効率が悪い点だ。
定性調査ではインタビュー調査が用いられることがほとんどだが、インタビュー調査には大きな時間的コストがかかる。
長い時間を要しても必要な情報を得られないこともあるため、効率よく情報を集めることが難しい現状がある。
具体的な定性調査の方法
定性調査として代表的なのが、複数人の対象者を一度に集めてインタビュー調査を行う「グループインタビュー」と、1人の対象者に対し1人の調査者でインタビューを行う「デプスインタビュー」だ。
グループインタビューでは、属性を問わず一度に複数人に対してインタビューを行えるため、多角的な意見が集まりやすい。
一方デプスインタビューでは、その場の状況に応じて質問項目を追加したり、質問内容をさらに深堀りしたりすることができる。
定量調査と定性調査を組み合わせる手法
定量調査と定性調査を組み合わせて調査を実施する方法もある。
定量調査を軸に定性調査を組み合わせる方法では、定量調査によって問題構造の大枠を理解し、詳細なユーザー心理が知りたい項目のみ定性調査を用いて課題や改善のための分析を行う。
また、定性調査を軸に定量調査を組み合わせる方法では、定性調査から課題点をいくつか抽出し、抽出した課題に関して定量調査を用いて量的分析を図る。
定量調査と定性調査の違いを知って使い分けよう
定量調査と定性調査は、調査の内容だけでなく、目的や得られるデータ、メリット・デメリットも異なる。
数値ベースで全体の傾向や動向を把握したい場合は定量調査、要因の解明のために、数値化できない個人の意見を収集したい場合は定性調査を選ぶことで目的を達成できるだろう。
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この記事の監修者
株式会社フィンチジャパン 代表取締役
早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。
出版
PR Times記事
『https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>』
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