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商品開発プロセスでヒットを生み出すための3つのマスト調査

                   
プロセス
公開日:2018.01.22更新日:2023年5月23日

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「調査をしすぎると、商品企画が平凡になる」という話を聞く。確かに、調査から得られた大多数の声を反映しすぎると商品企画などの新規事業開発は「丸く」なりやすい。しかし、それは調査をやりすぎる問題ではなく、調査の活用と解釈の問題だ。今回は、商品開発プロセスの中で重要な調査フェーズでどんな調査をすればいいか、3つのマスト調査を紹介する。

3つのマスト調査:「鳥の目」「虫の目」「魚の目」

3つのマスト調査を喩えるならば、それぞれ次のように表現できる。

  1. 「鳥の目」:空から市場を見下ろして全体の勢力図をつかむ
  2. 「虫の目」:ミクロな視点で顧客すら気づかない事をつかむ
  3. 「魚の目」:潮の流れを読んで、今後の見通しを立てる

ヒット商品を生み出すためには、「品質が高い」「価格が妥当」といった、商品そのものの魅力に加えて、『時流に合っている』ということが同じくらい重要になる。どんなに優れた商品でも需要の潮目を掴まなければ、ヒットしないし、話題に上ることもない。このためには、ロングセラーを開発するのと異なるプロセス・視点での商品開発が必要である。まさに「鳥の目」「虫の目」「魚の目」は打って付けの武器となる。

つまり、この3つの目で行う調査をそれぞれ次のように呼称する。

  1. 鳥の目:市場調査
  2. 虫の目:消費者調査
  3. 魚の目:トレンド調査

そして、この3つの調査はいずれもヒット商品の企画を行う上では必ず行わなければならない『マスト調査』だ。

【関連記事】商品開発の支援におけるコンサルタントの3つの役割

1.「鳥の目」となる市場調査

市場調査とは、文字通り今の市場を事細かに調べることを指す。

市場の理解がなければ、自社商品が市場のどこに位置付けられるか、具体的に言えばコンビニやスーパーのどの棚に置かれるかが決まらないのだ。そうなってしまうと、ヒットどころか商品を棚に並べて消費者にお披露目することすらできない。

市場調査の項目としては次のようなものがある。

  1. 競合がどんな商品を展開しているのか?
  2. 今の店舗ではどんなマーチャンダイジングが行われているのか?
  3. それはなぜか?

【関連記事】【市場規模の調べ方とは?】算出方法をフェルミ推定を用いて解説

point1:データだけでなく、自分の足で調べる市場調査

調査を行う際は、市場を示すグラフなどのデータを眺めるだけではない。

例えば、自分の足で渋谷や銀座の街を訪問し、客層の変化や値付けの仕方、商品陳列の仕方について臨場感を持って理解できる様にすると良いだろう。
ちなみに今の銀座は10年前の銀座とは全く違っており、多くの観光客で賑わい、その対応や接客が当たり前になっている。

point2:マクロ環境を肌感をもって把握する

それ以外にも政治の影響や、株価などの経済の影響、あるいは共働きなど社会情勢の影響といったことについても言葉やデータだけではなく、肌感を持って把握することが大事だ。
例えば、毎年10%成長するという市場がどれほどの成長速度なのか、実感を持って語れることが市場調査の目的と言える。

2.「虫の目」となる消費者調査

消費者調査とは、消費者が何を消費しているのか、そして何を求めているのかを把握する調査である。消費者を『消費』だけに留めずに、生活全体を捉える調査のことを生活者調査と呼ぶこともあり、目的は同じである。

例えば、ミレニアル世代(2000年以降に成人した若年層世代のこと)が、今どんな生活をしているのかを調べるとしよう。彼らを調べる方法は数多くある。

  • 統計などのデータ
  • インタビュー
  • SNSで話している内容

こういった情報を理解することも消費者調査である。

【関連記事】デプスインタビューとグループインタビューの使い分け

point1:具体的なヒントを得るための定性調査

消費者調査には2つのタイプがある。

  • 数字やデータなど、定量的に理解する調査
  • 発言や行動など、定性的に理解する調査

どちらも重要だが商品開発の具体的なヒントを得るのは多くの場合、後者の定性的な調査だ。
インタビューや訪問、行動観察といった定性的な情報には、消費者自身も気づかないヒントが隠されている。

point2:比較をすることで価値観の違いを浮き彫りにする

また、比較も理解を深める上で有効である。

例えば、40代の消費者と、60代の消費者を比較することで、その違いから、各世代の特徴を理解できる。求めているモノやサービスについても違いを調査した方がより理解が深まる。

世代だけでなく、国や文化によっても違いが出る。日本と中国(上海)ではシャンプーに対するニーズが全く違う。日本ではトロっとしたテイストを好むが、中国では水の様な形態を好む、といったことも比較することでより求めることが鮮明になるのだ。

point3:どんな使い方をするかを確かめる

消費者が本当に欲しがっているポイントを深く掘り下げるために、新しい商品のコンセプトを提案してみたり、あるいは新しい商品を使ってもらったりすることで、消費者の受け入れ性を理解することもできる。

グリコのドロリッチは、ある消費者が固形のヨーグルトをぐるぐるとかき混ぜトッピングを入れながら食べていることにヒントを得て商品化した、と言われている。こうした新しい商品は実際に消費者に試してもらって、ニーズが発掘されることも少なくない。

いずれにせよ、消費者調査は虫の目を持って、小さな違いや特徴を発見するプロセスとなり、時間が許す限り、繰り返し調査と発見を行うべきだ。

3.「魚の目」となるトレンド調査

トレンド調査とは、需要を生み出す背景にある社会情勢や市場の今後の見通しを把握する調査を指す。

商品需要は、過去から未来にいたるまで直線で変化していない。古いタイプの商品は時代の流れとともに淘汰され、新しいタイプが登場すれば、市場の勢力図は大きく変わる。問題は、特にそのサイクルが現在は非常に早いことだ。そのため、今の市場の状態を前提に商品開発を行っていたのでは、店頭に並ぶ頃にはすでに時機を逃してしまう。
そこで開発者は、将来トレンドを予測しなければならない。未来の消費価値観や市場のトレンドを先読みして、商品を販売したときには、「こんな商品を待っていた」といわれるようなトレンドのピークにピッタリと合わせて調整する必要がある。

言葉で言うのはたやすいが実務で行うには大変難しい。そこで、商品開発に携わる関係者や経営者にも将来の見通しや未来の姿を共有・共感してもらうことが重要になる。

point1:トレンドの影響力を持つ人を特定する

トレンドは、ありとあらゆる消費者が共有されているとは限らず、局所的に起こることもある。また、トレンドセッターやオピニオンリーダーと呼ばれる、いち早くトレンドの萌芽を見つけ、増幅させることのできる人たちが大きな影響力を持つこともある。
そこでトレンド調査ではこうした人たちとの定期的な意見交換も重要な調査となる。(専門用語ではエキスパートインタビュー調査と呼ばれる)。そのためトレンド調査は、データで示すと言うよりも、『どこを発信源』に『どんなことが起こりうる』のか、といったネタを多方面で集めることを意識する。また、あまり自社の業界だけに閉じずに広く集めた方がいいだろう。

point2:マクロトレンド・メガトレンドを定期的に追う

また、人口減少とかインバウンド需要の増加といった、「マクロトレンド・メガトレンド」と呼ばれる大きなトレンドに影響する要因についても定期的に調査していくと良い。マクロトレンドは、間違いがない予測でありまた外してはいけない予測だからである。

3つのマスト調査のまとめ

「鳥の目」「虫の目」「魚の目」のそれぞれの調査は、もちろん相互に影響を及ぼしている。実施頻度にバラツキがあってもこれらの調査は定期的に行い共有することで、組織の中の情報のアンテナを常に高くしておく習慣を定着させよう。

なぜならば、今は世代ギャップだけではなく、様々な国の文化が融合しているし、SNSなどインターネットの影響は計り知れない。数年もすれば、自分の常識が非常識になっていると言うことも起こりうるのだ。

この記事では、商品開発のプロセスで行う3つのマスト調査を紹介した。

  1. 「鳥の目」:市場調査
  2. 「虫の目」:消費者調査
  3. 「魚の目」:トレンド調査

これら調査を使い分け、理解を深めることが、自社商品・サービスとして何をするべきなのかという「気付き」を得るヒントになる。そしてこうした調査を経て得た定量データや定性データは、商品企画をプレゼンテーションするための説得材料としても有効活用することが出来る。

商品開発とは、多くの人達が関わる共同作業である。また自分たちがターゲットになるとは必ずしも言えない。そのため、その商品がなぜ今発売するのかを共感してもらうためにも様々な調査を駆使するのは今後ますます重要になる。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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