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チームビルディングとは|事業を成功させるチーム作りに必要なたった1つのポイント

                   
プロセス
公開日:2018.07.25更新日:2023年5月23日

チームビルディングとは、「メンバー各人の能力を最大限に生かした組織作り」のことで、近年、複雑で高度な事業開発を推進する際に重視される組織運営の手法となっている。

しかし、チームビルディング手法は、「個人の力を最大限活用すること」を特徴としているため、従来の組織運営とは異なり、簡単に導入できないという課題がある。

本記事では、新規事業開発におけるチーム編成の各段階において発生する問題点とチームリーダーの役割を見ていきたい。

チームとは何か。

まずチームとは何であろうか。例えばWikipediaによれば以下の様に定義されている。
チームとは上下関係があるヒエラルキー型の組織ではなく、相互依存性や相互補完性によって成立していると言えるだろう。

Wikipediaに見る”Team”の定義

「チームとは共通の目的によって結びついた人や動物の集まりである。チームは特に複雑な状況下で業務を処理することに適しており、相互依存する多くのサブタスクを有している。」

“A team comprises a group of people or animals linked in a common purpose. Teams are especially appropriate for conducting tasks that are high in complexity and have many interdependent subtasks.”

「チームは通常、補完的なスキルを持つメンバーで構成され、お互いが強みを最大化し、弱みを最小化する努力をすることで、シナジーを生み出す。チームメンバーはお互いに助け合う方法を学ぶ必要があり、全員で本当の可能性を実現するのを助け、他のチームメンバーが皆で限界を超えていくような環境を作り出していく必要がある。相互にコミットメントしている感覚はシナジーを生み出し、チームは人の集まり以上のものになる。そうすることで、個々のメンバーの成果の集積以上の成果を挙げることができるのである。

“「Teams normally have members with complementary skills and generate synergy through a coordinated effort which allows each member to maximize his/her strengths and minimize his/her weaknesses. Team members need to learn how to help one another, help other team members realize their true potential, and create an environment that allows everyone to go beyond their limitations. A team becomes more than just a collection of people when a strong sense of mutual commitment creates synergy, thus generating performance greater than the sum of the performance of its individual members.」

出典:wikipedia

チームビルディングを成立させる4つの条件

九州大学大学院の山口教授(2008)らの研究によれば、チームビルディングは以下4つの条件を満たすことで成立すると言われており、これらの条件は先述の定義と照らし合わせても同義と言えるだろう。

  1. 達成すべき、明確な目標の共有
  2. メンバー間の強直と相互依存関係
  3. 各メンバーが果たすべき役割の割り振り
  4. チーム構成員とそれ以外の境界が明確

出典:山口裕幸(2008)「チームワークの心理学」

個人競技の団体戦と、チームプレーの違い

チームにおける相互依存性や相互協力性は、メンバーの独立度合いによって多少異なってくる。これは、個人競技の団体戦と、そもそもチームを組まないとゲームが成立しないスポーツに分けて考えられる。

  • 独立型チーム(Independent):剣道や体操の団体戦の様に、個人が独立しているチーム
  • 相互関与型チーム(Interdependent):ラグビーやバレーボールの様に集団が相互依存するチーム

新規事業では、少数個人の役割が大きくなる一方で、個々人の相互協力性が高まらないと、一つの事業として形になっていかない。

そのためチームのあり方や作り方についての理解が一層重要になってくる。

チームビルディングが重要視される背景

新規事業を開発する際の一時的な組織を編成は、従来から行われてきた。

これは、「プロジェクトチーム」や「タスクフォース」と呼ばれる組織で、あくまで既存の組織の方針に基づいて作られていた。

既存の組織では、権限を持つ上司からのトップダウンに基づき、その上司の命令を忠実に実行する部下がビラミット状に連続実施することで、業務を達成していく。

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ヒラルキー型組織からの転換

しかし、こうした背景や課題を持つ体制では、既存のピラミッド型組織の延長で構成されるプロジェクトチームでは対応できなくなっている。それは組織の目的や役割に対する考え方が数の様に全く異なるからである。

  • 製品やサービスの劇的な変化
  • 製品のライフサイクルの短命化
  • 外部リソースを柔軟に取り入れていく必要性

変化の激しい課題を解決することを期待される事業開発テーマでは、チーム型組織の立ち上げと運営が重要になってきているわけだ。

フェーズごとの課題とリーダーの役割

チームビルディングにおけるチーム編成では、チームリーダーは既存の組織の上司のような強力な権限を持っていないことが多い。そのため、チームをまとめる上で、リーダーの役割の困難性が指摘されている。

一般的に、チームビルディングは「タックマンモデル」というモデルがあり、5つのフェーズを変遷していく。

  1. 形成期
  2. 混乱期
  3. 統一期
  4. 機能期
  5. 散会期

チームビルディングにおいては各段階においてチームに何らかの問題点や課題が発生し、リーダーはその解決にあたることになる。

今回は日本チームビルディング協会も提唱しているタックマンモデルに基づくチームの状態の変遷と、リーダーの役割についてみていく。

1.形成期

チームメンバーが招集され、チームとしてスタートした時期である。

メンバーには、お互いのことがまだ分からないため、不安と緊張がある。この時期のリーダーの役割としては、このチームが何をなすべきかという「課題」を明確にすることである。

2.混乱期

チーム内での「課題」が明確になった後、その解決のための方法論を模索する時期である。

ここではメンバー間の価値観や考え方の違いから、様々な主張が交錯し、葛藤が起き、嵐のように混乱する時期である。しかし、実はこの時期はチームにとって大切な時期であり、混乱や葛藤は必要悪である。

リーダーはこの時期に飲み会などのお互いをより理解する役割を果たす必要がある。むしろ反対に混乱があまりない場合こそ要注意であり、リーダーはメンバーが課題を共有しているかをチェックすべきである。一般的には、このタイミングにおいて以下の様な課題に直面することが多い。こうした課題に一つずつ対処することで統一期に到達することができるだろう。

3.統一期

チームとしてのルールや役割分担がはっきりしてくる時期である。

リーダーは、激しい葛藤がある中でも共通の価値観や個人の個性や能力を勘案しながらルールや担当分野を決定していく。しかし、「あいつは能力が無い」とか「彼の資料はいつもミスが多い」などといったメンバー間に目がいっている場合は、未だ混乱期が続いている現象であり、相互理解を進めるリーダーのフォローが引き続き必要である。

4.機能期

チームのルールや役割を十分に認識し、目標に向かってチーム一丸となり始める時期である。

しかし、状況の変化により、ルールや役割分担は柔軟に変更することも求められる。リーダーは常にメンバーとの対話を継続することが重要である。

チームとして有機的に機能している場合は、リーダーの指示が無くてもメンバー同士で自主的に調整を始め、状況の変化にも柔軟に対応できるようになっている。

5.散会期

目的達成、あるいは未達、時間的制約、状況の変化等によってプロジェクトが解散する時期である。

チームビルディングで最も大切なことは、役職からミッションへ

既存組織は、より上位の人間が持つ権限が強大になる様に設計されている。

一方、チームビルディングでは個々の役割や機能を最大限に発揮することに重点を置いて設計されている。そのため、チーム型組織では既存組織のように上司の権限に制限されることなく、市場の変化に対応して、個々人の能力や役割によって、柔軟に課題を解決できるという特徴を持っている。

そのためには個人のやりがいや達成感をエネルギーに注目し、まずメンバー個々人の役割を明確にして行くことだ。メンバーの役割についても、営業や開発、管理という業務で役割を決めるのではない。以下の様にチーム型組織におけるミッションに基づいて決めて行き、自律的な組織運営を目指して行く。

従来の職場のチームは「出る杭は打たれる」という発想だったが、製品のライフサイクルが劇的に短縮化し、新たな技術や考え方を次々と吸収して行く必要がある昨今、これからは「打てないほどの出る杭になる」ことが本当に求められる。

チームリーダーに求められる設問への解答

もちろんチーム型組織では、チームリーダーの役割はとても重要だ。

  • 「どのくらいうまくリーダーはチームをリードできているのか?」
  • 「個性の対立が成功に向けた障害を生んでいないか?」
  • 「チームメンバーはチームに対してコミットメントを持っているか?」

チームリーダーがこうした設問に明確に答えられることで、事業を成功させるチームビルディングができたと言えるだろう。

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この記事の監修者

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株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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