新規事業とは?立ち上げで重要なビジネスアイデアの探し方と6つの行動
公開日:2020.02.27更新日:2023年4月20日
デジタル隆盛の今の時代、利用者はインターネットを日常的に利用して情報を集め自分の気に入った商品やサービスを選んでいく。そして毎日の様に世界中でスタートアップが次々と新たなサービスを立ち上げ、それらをインターネットで世界中に発信している。
過去10年で身の回りにサービスが一変した様に、今後10年であなたの身の回りのサービスは今とは全く異なったものになっているだろう。つまりデジタルファースト時代では、自社の経営を支えている「既存事業」は常に脅威にさらされていると言っても過言ではない。
そのため企業は常に「新規事業」を検討しチャンスがあれば、それら事業にチャレンジするファイティングポーズを取り続けなければならないだろう。しかし、既存事業に匹敵する新たな事業が社内から次々と生み出させる可能性は、歴史を紐解いてみてもそれは容易でないことは明らかだ。
そして、実はその理由も明らかになっている。
我々のビジネス行動は合理的にできているが故に、限られた時間を既存事業に関連する企業との関係や人的ネットワークに費やさざるを得ない。その結果、どうしても新規事業に対する優先度が下がるからだ。
つまり、0から1の新規事業を思いつくためには、時間を掛けて「何を考えるか」ということよりも、今使っている時間を新規事業に関連する企業との関係や人的ネットワークに振り分ける「行動」から始めなければならない。
今回は、0から1の新規事業を思いつくために、「誰」と関係を築き、人的ネットワークを構築するべきなのか、そのときどのようなことに気をつけなければいけないのかを紹介しよう。
【新規事業の立ち上げ・アイデアを出す方法に関する記事】
この記事では新規事業の立ち上げ方法・アイデアの出し方について複数回にわたって解説している。
- 新規事業とは?立ち上げで重要なビジネスアイデアの探し方と6つの行動
- 新規事業のアイデアの考え方とは?簡単に出すための7つの方法
- 新規事業企画書はどう書く?必要な8つの項目を解説
- 新規事業のプレゼンテーションは何が大事?押さえておきたい項目とは
- 新規事業立ち上げのプロセスとは?22のステップを徹底解説
新規事業の立ち上げが必要な3つの理由
いうまでもなく、自社に利益をもたらしてくれる新規事業を立ち上げることは困難な作業だ。
既存事業が軌道に乗っている場合、面倒な作業は行いたくないと考えることもあるだろう。
考えは理解できるが、次の理由から立ち止まることは積極的に勧められない。
外部環境や内部環境を見渡したうえで、新規事業の立ち上げを検討してほしい。
理由①急速なニーズの変化に対応するため
インターネットが普及してから、社会が変化するスピードは加速を続けている。
例えば、多くのトレンド商品は、口コミでじわじわ広がるのではなくSNSで全国的に一気に拡散するようになった。
地道なマーケティングで地位を獲得した商品も、そのポジションを一瞬で奪われる可能性がある。
導入期・成長期・成熟期・衰退期で構成されるプロダクト・ライフサイクルは、一昔前に比べて短くなったといえるだろう。
また、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、社会のノーマルも大きく変容した。
2019年まで、国民の多くがマスクを着けて日常生活を過ごす世界を想像した経営者はほとんどいないはずだ。
ノーマルが変容したことによって、既存のニーズが次々と失われるとともに新たなニーズが次々と生まれている。
つまり、ビジネスチャンスが誕生しているのだ。
以上からわかる通り、社会のニーズはめまぐるしく変化している。
ニーズの変化に対応するため、新規事業の立ち上げが欠かせない。
理由②既存事業とは異なる収益源を確保するため
前述のとおり、社会の変化を受けて商品や事業のライフサイクルは確実に短くなっている。
以前よりも早いタイミングで衰退期が訪れるということだ。
現在は好調な事業も、半年後、あるいは1年後にどうなっているかわからない。
1つの事業に依存していると、衰退期を迎えたときに会社の経営まで悪化してしまう。
好調なときこそ、いずれ訪れる衰退期に備え別の収益源を確保しておくべきだ。
新規事業が新たな柱になるほど成長すると、既存事業が衰退期を迎えたときもその影響を小さく抑えられる。
プロダクト・ライフサイクルの短縮化とともに押さえておきたいのがパイの縮小だ。
改めて言うまでもないが、日本社会は超高齢社会と人口減少社会に突入した。
以上を前提に考えると、多くの市場でパイは縮小する。
安泰といえる事業でも、売上などは減少する恐れがあるのだ。
パイの縮小を見据えて、既存事業とは異なる収益源(新規事業)を確保しておきたい面もある。
理由③後継者候補に経験を積ませるため
会社経営で問題になりがちなのが後継者候補の育成だ。
ここでいう後継者候補は主に経営人材を指す。
後継者候補の育成が難しい理由は、既存事業では必要な能力を身に付けにくいからといえるだろう。
そこで検討したいのが、新規事業を後継者候補に任せることだ。企画・計画・立ち上げ・改善・拡大の流れは、まさに会社経営そのもの。
新規事業を後継者候補に任せることで、既存事業では身に着けられない会社経営に必要な多くの能力を身に着けられる。
後継者候補を育てたい場合、事業の権限はできる限り与えるほうがよいだろう。
失敗が学びの機会になることもあるからだ。
ただし、会社経営に影響を与えるほどの損失が発生することは避けたい。この点は、新規事業の規模を検討することや後継者候補の権限を調整することなどで回避できる。
新規事業は、取り組み方次第で人材育成の場にもなる。
新規事業成功のために押さえたい4つのポイント
新規事業には、それなりの金銭コスト・時間コスト・人的コストなどがかかる。
人材を育成できるとしても、可能な限り成功を目指したい。
ここからは、新規事業成功のために意識したいポイントを解説する。
ポイント①本業との兼ね合い
新規事業を立ち上げる前に確認しておきたいのが本業との兼ね合いだ。
本業とかけ離れた新規事業を立ち上げると、自社のブランドイメージを棄損してしまう恐れがある。
例えば、最高品質の提供を目指している企業が価格最優先の新規事業を立ち上げると、これまで築いた信頼を失ってしまうだろう。
従業員の誇りを傷つけて混乱させてしまう恐れもある。
当然ながら、既存事業との相乗効果も期待しにくくなる。
もちろん、工夫次第で両立は可能だが、本業との兼ね合いはよく考えておかなければならない。
ポイント②課題を抱える顧客の明確化
新規事業を立ち上げる前に「誰のどんな課題を解決するか」を明確にしておかなければならない。
この点が曖昧だと、競合他社の製品やサービスと差別化を図れないからだ。
成熟している市場に参入する場合、自社のポジションを確保することは難しくなるだろう。
したがって、具体的な誰かひとりのレベルまで顧客像を明らかにしておく必要がある。
例えば、氏名・年齢・家族構成・職業・年収・趣味・休日の過ごし方・達成したい目標・口癖などの設定が考えられる。
また、顧客が抱える課題は、お金を払ってでも解決したいと考えているものでなければならない。
新規事業の立ち上げが目的化している場合、顧客にとって重要性の低い問題を重要性の高い問題と思い込んでしまうことがある。
客観的な視点を失わないようにしたい。
ポイント③仮説の検証を行う
新規事業の立ち上げにあたり設定した顧客と課題はあくまでも仮説だ。
存在しそうな顧客と課題といえるだろう。そして、課題の解決方法も、多くの場合において仮説となっている。
したがって、顧客と課題が存在すること、想定している方法で課題を解決できること、解決方法にお金を払う価値があることを確かめる必要がある。
検証方法はさまざまだが、調査会社への依頼が定番といえるだろう。
予算が厳しい場合は、社内ネットワークの活用や家族、友人の活用も考えられる。
仮説とは異なる結果が出た場合は、修正と検証を繰り返して精度を高めなければならない。
仮説が立証されて顧客数の増加とともに利益を上げられることがわかれば検証は終了だ。
ポイント④スピードを重視する
競合他社が思いつかないほど独創的なアイディアを思いつくことはほとんどない。
新規事業のアイディアは、競合他社も検討していると考えるべきだ。
新規事業に試行錯誤は欠かせないが、いつまでも時間をかけてよいわけではない。
検討を重ねているうちに、競合他社がよく似た事業を立ち上げることも考えられるからだ。
限られた期間の中で、仮説と検証を重ねて精度を高めていく必要がある。
当然ながら、これらの回数が多いほど仮説の精度は高くなる。
つまり、新規事業は成功へと近づく。
したがって、新規事業の立ち上げでは、スピードも重視しなければならない。
競合他社もよく似たビジネスを立ち上げていると考えて行動するほうがよいだろう。
新規事業立ち上げの成功事例
新規事業を立ち上げたいものの、具体的なイメージがわかないこともあるだろう。
このような場合は、成功事例を参考にするときっかけをつかめることがある。
ここでは、新規事業の成功事例を紹介する。
ASTALIFT(富士フィルム)
エイジングケア領域において一定のシェアを獲得している化粧品「ASTALIFT」は、カメラ・印画紙などを展開してきた富士フィルムが販売している。
新規事業を立ち上げた背景には、デジタルカメラの普及によるフィルム市場の縮小があったようだ。
全く異なる分野へ参入できた理由は、研究・開発を続けてきた写真フィルム技術を化粧品分野へ応用できたからといえるだろう。
具体的には、ナノテクノロジーや抗酸化技術などがあげられる。
また、画像解析技術を用いて、毛穴ケアの研究などを進めている点も見逃せない。
既存の技術を新規事業へ活かした成功例だ。
らくぴた送迎
らくぴた送迎は、軽自動車を中心に展開する自動車メーカー・ダイハツが立ち上げた通所介護事業所向け送迎支援システムだ。
渋滞する時間帯の送迎に通所介護事業所のスタッフが課題を抱えていることに着目して開発された。
申し込みを行うと1事業者につき1ライセンスが発行される。
送迎計画の作成はもちろん、ルート案内、運行記録、送迎実績データの蓄積、送迎シミュレーションなど、さまざまなサポートを行ってくれる点が特徴だ。
施設・利用者の目線で、使いやすさに配慮した機能を搭載している点も見逃せない。
例えば、相性が悪い利用者の同乗を通知する機能や施設とドライバー間で利用者のキャンセルを簡単に連絡する機能などを搭載している。
テイクアウトレンタル
テイクアウトレンタルは、家電量販店のビッグカメラとカメラ・交換レンズのサブスクリプションサービスを展開するカメラブ株式会社(サービス名:GOOPASS)が立ち上げた新規事業だ。
ビックカメラ店頭でGOOPASSに登録して所定の手続きを済ませると、検討中のカメラをお試しレンタルできるサービスとなっている。
実際に使って気に入ったカメラはそのまま購入できる。
登録から持ち帰りまでの所要時間は最短で5~10分だ。2022年4月に対象店舗・アイテム数が拡大するなど注目のサービスとなっている。
新規事業のアイディアが思いつかないときに心がけたいこと
新規事業の必要性は理解しているものの具体的なアイディアを思いつかないこともあるだろう。
新規事業の立ち上げにおいて、0から1を生み出すときに心がけたいポイントを紹介する。
独創的なアイディアにこだわらない
新規事業は「誰も思いつかなかったアイディアでなければならない」と考える経営者は少なくない。
確かに競合他社が存在しない事業は魅力だが、このようなアイディアを簡単に思いつくことはできないだろう。また、市場が存在しない場合は、需要が存在する保証もない。市場の創出から始めなければならないケースもある。魅力だけでなくリスクも大きいのだ。
「新規」の捉え方はさまざまだが、基本的には「自社が取り組んでいない」程度に捉えておくとよいだろう。
このように考えれば、新規事業のアイディアは山ほどある。
例えば、給食受託事業者にとって、健康を意識した飲食店の展開は新規事業になる。
当然ながら、飲食店は「誰も思いつかなかったアイディア」ではない。
一般的な飲食店と運営会社の事業内容・店舗のコンセプトが異なるだけだ。
しかし、競合店と差別化を図ることはできる。
以上の例から、新規事業では「誰も思いつかなかったアイディア」にこだわる必要はないことがわかる。
肩の力を抜いて、さまざまな可能性を模索するとよいだろう。
ネガティブな意見を控える
アイディアを出す段階では、ネガティブな意見をできるだけ控えたい。
最初から完璧を求めると、意見が出なくなってしまうからだ。
まずは種を集める感覚で、さまざまなアイディアをストックしたい。
粗が目立つアイディアであっても、ブラッシュアップすれば事業化できるものはたくさんある。
この段階では、可能性に目を向けることが重要だ。
当たり前を見直す
同じ事業を続けていると、気づかない間に自社の当たり前ができてしまう。
判断をスムーズに下すため欠かせないものだが、新規事業の立ち上げにおいては邪魔になることもある。
アイディアを思いついても、これまでの経験から「こんなことはできないだろう」「計画に無理がありすぎる」などと考えてしまうからだ。
例えば、給食受託事業者の多くは「飲食店でわざわざ給食を食べたい顧客はいないはず」と考えるだろう。
しかし実際は、学校で食べた思い出の味をもう一度食べたいと考える顧客もいるはずだ。
店舗の内装を学校風にすると支持されるかもしれない。
以上はあくまでも一例だが、自社の当たり前に凝り固まっていると新規事業の種を見逃してしまうことがある。
とはいえ、当たり前を当たり前として認識していることは少ないため、特有の価値観に気づくことは難しいものだ。
新規事業のアイディアを思いつかないときは、自社が取り組んだことのない事業に携わっている人材との交流をお勧めする。
新たな価値観に触れることで、新たな方向性を見出せることは少なくない。
頭をひねってもアイディアを思いつかないときは行動することも大切だ。
「何を考えるか」ではなく、「誰と話すか」
例えばスタートアップが次々と生まれるカルフォルニアに行くと、カフェではスタートアップの経営者が活発に意見交換している風景がよく見られる。
実際に、FINCHでも現地知人の紹介でその輪に入り、話に参加したことがあるが、その内容は意外にシンプルだった。
- 「今、成長する話題のサービスは何か」
- 「成長を手助けしている人はだれか(紹介してほしい)」
- 「こんな人材を探している」
つまり、0から1の新規事業を思いつくために、「何か」を考えることから始めるのではなく、「誰」と話すかにより意識と行動を向けた方がいいということだ。
新規事業が思いつかない時に「誰」と話すかに意識と行動を向けた方がいい理由
しかし、どうしても新規事業に携わるビジネスパーソンは、まず「考えること」から始めてしまう。
その理由は実にシンプルだ。
それは、多くのビジネスパーソンは限られた時間を既存事業の推進のために使うからだ。
既存事業を取り巻く企業との関係や人間関係のために多くの時間を割くことは、ビジネスマンの行動としては合理的であるし至極自然だ。
しかし、新規事業にとっては不合理だ。
これまで自社で取り組んだことがほとんど無い事業に取り組むためには、今まで多くの時間を割いている業務や関係性ではなく、新規事業に必要な企業との関係・人間関係目を向け時間を割かなければならないのだ。
0から1の新規事業を生み出すために接触するべき6つの相手
では、0から1の新規事業を思いつくためには、どんな企業や人と話すのがいいのだろうか。
新規事業のヒントを得るために話すべき相手は、以下の6つ有力だと考えている。
- スタートアップの幹部社員
- いくつもの会社(事業)を経営したことがあるビジネスマン
- 他会社の新規事業を担当する社員
- 不動産屋
- 広告をよく見かける企業(または業種)
- 新規事業支援を専門に手がけるコンサルティング会社
ただし、あなたが時間を割いて話をする場合、気をつけるべきポイントがそれぞれ存在する。
ここから、なぜこの6つの相手が新規事業のヒントを得ることに繋がるのか、そして何に気をつけるべきなのかについてひとつずつ紹介しよう。
1.スタートアップの幹部社員
まず一番リアリティがあるのは、スタートアップの幹部社員の話だろう。
一般的にスタートアップの幹部社員は自身でもリスクを取り事業を立ち上げているので事業推進には貪欲だ。
どこに事業のヒントがあり成長のために何をすべきかをいつも考えている。
そのため自分たちの利得を中心に考える傾向はあるものの、「新規事業」のヒントになる話題はたくさんあると言っていいだろう。
気をつけるべきこと
スタートアップ幹部と話を聞くときに、気をつけなければいけないことは、大きく2つある。
1つ目は、「スタートアップが取組んでいる事業≠必ず成功する事業」ということだ。
スタートアップが取り組む事業の多くはあくまで仮説だということを忘れてはいけない。
仮説に対しリスクをとって検証するからこそスタートアップに価値があるのだが、仮説がいつも正しいとは言えないことを前提にしなければいけない。
2つ目は、スタートアップの事業アイデアを黙ってそのまま模倣してはいけない。
もし仮にスタートアップの取り組んでいる事業を自社の新規事業として取り組みたいということになったら、その旨スタートアップに申し入れをするのをルールにしたい。
そもそも表面的なサービスをそのまま真似てもうまくいくはずがない。
なにより、スタートアップの幹部社員と接点があるにもかかわらず、彼らが汗をかいて取り組んでいるサービスをそのまま使うというのは長い目で見れば、あなたの企業の信用を大きく損なうことになり、新規事業に取り組む道を閉ざしてしまう。
2.いくつもの会社(事業)を経営したことがあるビジネスマン
いくつもの会社(事業)を経営したことがあるビジネスマンも非常に有力な相談相手になる。
彼らは日常的に新しい商売を見つける行動をとっており、それら商売に必要な経営資源や人的ネットワークに接触することに長けている。
そのため、相応の信頼関係を築くことができれば、商売のタネやヒントを色々教えてくれる様になるはずだ。
「商売のセンスがいい」「商売の勘や嗅覚に鋭い」とよく評される人たちがいるが、その実情は驚くほど多くの人たちとのコミュニケーションに気を配り、絶えず情報を集めフィードバックしていることが多い。
つまりセンスや商売の勘というのは、新規事業のための努力の上に成り立っていると言えるだろう。
気をつけるべきこと
気をつけなければいけないことは、彼らは基本的に事業の立ち上げのプロである故に、当該者が本気でコミットするかどうかに対して敏感だ。
「ただ情報を集めているだけ」というのを嫌厭する傾向があるし、社内調整をしてでも事業を立ち上げたいという熱意を大事にする傾向がある。
その意味では彼らと接する上で、あなたの側にも覚悟が必要になるだろう。
3.他会社の新規事業を担当する社員
他の会社で新規事業を検討している社員と意見交換するのも悪くない。
情報交換をどのレベルで行うかということが課題になるものの、どの分野に可能性があるかということについて、その勘所を確認するには有効なアプローチと言っていい。
気をつけるべきこと
担当する社員の全員が新規事業企画立案を志しているわけではないのも周知の事実だろう。
「未来のために身を粉にして新規事業に取り組みたい」という熱意あふれる社員もいれば、「経営が新規事業をやれというので担当しています」という受け身な社員も存在する。
前者のような、会社の未来のために身を粉にして新規事業に取り組む決意を持った社員は会社にとって財産であり、そういう人との出会いはあなた自身の大きな刺激になるに違いない。
したがって気をつけなければいけないのは、新規事業の取り組みに対して温度感が人それぞれ異なるということだろう。
4.不動産屋
一般的に不動産屋は商売の変化に敏感だ。
「どの会社がオフィスを増床した」とか、「どの業界が景気良さそう」とかそういうことを肌感として掴んでいることが多い。
そのため懇意にしている不動産屋と情報交換するのも一案と言えるだろう。
例えば不動産屋と話をすると、住宅業界周辺の企業が色々動いている話を聞く。
新会社を作ったとか、リフォーム事業のために地域営業所を作ったとかそういう話だ。
そうすると、「人口減少・世帯減少の中でいよいよ住宅業界が本気でいろいろな取り組みを始めてきた」「住宅業界向けの新規事業のチャンスがあるかもしれない」とアイデアのヒントが得られる。
気をつけるべきこと
無論、不動産屋は「なぜ」景気が良さそうかということ背景を掴んでいるわけではない。
それは一時的かもしれないし、その会社特有なことも少なくない。
だからあくまでヒントとしてとらえた方がいいだろう。
5.広告をよく見かける企業(または業種)
広告をよく見かける企業や業種が展開している製品・サービスも新規事業のヒントになる。
最近で言えばキャッシュレス業界では企業の広告合戦が繰り広げられた。
明らかに先行投資による広告投下だった。
広告投下が大規模に行われている業界は、市場を大きくしようという意思があるので、周辺サービスも含めて新規事業のチャンスがあると言っていいだろう。
「これからキャッシュレスがどんどん広がるから、そうなると消費者や企業にどんな変化があるだろう」という風に考えるヒントにしてみてもいいだろう。
気をつけるべきこと
だたし、気をつけなければいけないのは、広告投下した企業は、当然その後投資を回収する前提でいるため周辺サービスも含めて自社事業として取り組もうとしている可能性があるということだ。
そのため、広告投下が大規模に行われている業界が新規事業のチャンスであることには変わりないものの、自社で参入できるチャンスになるとは必ずしも言えないということに注意しよう。
6.新規事業支援を専門に手がけるコンサルティング会社
新規事業支援を専門に手がけるコンサルティング会社が多数ある。
これら企業は業界横断的に新規事業支援を行っていることが多いため、0から1の新規事業を思いつくためのヒントを持っていると言っていいだろう。
気をつけるべき
コンサルティング会社は新規事業の立ち上げを支援する立場にあるため、それぞれの企業で得意な領域が異なっていることが多い。
そのためコンサルティング会社を選定するときは以下を考慮するといいだろう。
うまく条件が合えば自社に必要な支援が得られるはずだ。
- 支援企業の新規事業を本当に立ち上げたことがあるかどうか。
(実績がある領域やその新規事業の規模など) - 得意とする産業領域や業界はどこか。
- 新規事業の立ち上げから成長までのどのフェーズが得意か。
- 支援(関与)の仕方はどの様なパターンがあるか。
まとめ:「考える」よりも先に取るべき行動
本当に0から1の新規事業を思いつくためには、一人デスクで考えることよりも、今使っている時間を新規事業に関連する企業との関係や人的ネットワークに振り分ける「行動」から始めなければならない。
FINCHが取り組んできたプロジェクトでも、新規事業の担当者が自身の努力によって新規事業に必要な企業との関係や人間関係を構築し、見事に新規事業を立ち上げた姿を見てきている。
これは決して容易ではないが、日常から自分の時間がどの様に使われているかを意識することで、半年後には目に見えて変化が出てくるはずだ。
そして、新規事業のタネを見つけたら、今度は新規事業の『企画』に成長させる必要がある。
この時、意識してほしいポイントが2つ存在する。
- 「なぜ今やるべき新規事業なのか(コンペリングイベントはなにか)」
- 「事業として収益が成り立つのか(ペインポイントはなにか)」
この2つについては、新規事業企画が思いつかない時に踏まえるべき2つの要素という記事で、事例を交えて紹介しているので、参考にしてほしい。
- 新規事業の事業計画書サンプル
- 新規事業を成功させる22のステップ
- 新規事業・商品開発
コンサルティングの成功事例 - など
この記事の監修者
株式会社フィンチジャパン 代表取締役
早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。
出版
PR Times記事
『https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>』
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