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新規事業の立ち上げに使える助成金の種類と申請方法

                   
新規事業・商品開発
公開日:2022.10.03更新日:2023年4月20日

新規事業を立ち上げる際には、資金調達についても考慮をしておくことをおすすめする。
なぜなら新規事業の立ち上げにはさまざまな面で費用がかかることが多いためである。

本記事では、資金調達の一つである助成金や補助金について触れていく。
新規事業の立ち上げに使える助成金や補助金を把握して、リスクを抑えながら事業展開を進めていきたい方は、本記事を最後までご覧いただきたい。

新規事業の立ち上げに活用できる助成金とは

新規事業を立ち上げるにはリスクがあるだけでなく、事業所や店舗の賃料・設備費・通信費・広告費・各種手続き費用・人件費、I C T費用など、様々な資金が必要となる。
そのため一般的に開業資金を自己資金のみで賄うのが難しい場合は融資を受けたり、国や地方自治体の助成金制度を利用したりして資金を集める。

新規事業の立ち上げを支援する助成金を総称して、新規事業助成金と呼ぶが、独立して新規事業を始める際や既存事業とは異なる新たな分野へ進出する際に利用できるものが多い。
また金融機関からの融資とは異なり、助成金は返済義務がないというメリットがある。

ただし資金を先に拠出したのちに後から助成されるものもあるため注意が必要で、助成金は実際にかかった費用の一部を援助する仕組みが多い。
そのため新規事業を始める時点では、まだ手元に資金がないという点に注意しなければならない。

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新規事業の立ち上げに活用できる補助金とは

新規事業助成金と類似するものとして、新規事業補助金がある。
新規事業助成金と同じく、新しい事業の開始を助けるために給付される資金のことだ。返済義務がないため利息もかからず、事業者にとって資金調達の負担を抑えられる。
補助金はそれぞれ給付目的や受給までのプロセスが異なる。

また大体の補助金には支給額の上限が設けられており、申し込みに必要な書類を申請期間内に提出し、審査を受けるのが一般的である。
助成金と異なり審査を通過すると給付される場合があるため、資金に乏しい新規事業の立ち上げの際にはメリットがある。

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新規事業助成金・新規事業補助金の違い

前述の新規事業助成金と新規事業補助金では、給付の目的と審査条件に違いがある。
まず補助金は事業そのものに対する給付である一方、助成金は人材雇用や研究開発など、特定の目的に対して支給されるのが一般的になっている。
また補助金は予算が限られているため、利用人数の制限がある。

給付を受けるためには、条件を満たした上で審査に通る、もしくは選抜されなければならない。
選抜方法は先着順や抽選など、補助金により多種多様だ。
万が一、補助金を当初の給付目的以外に使った場合、罰則が科せられる。
一方で助成金は一定の受給条件をクリアすれば支給される資金だ。

ただし、立入検査が実施されたり不正使用の際は企業名が公表されたりするため、当然のことであるが目的に則して正しく利用する必要がある。

補助金の方が受給の難易度が高いため、助成金よりも支給額が多く、種類が豊富な傾向がある。
例えば、後述する経済産業省 中小企業庁が行っているものづくり補助金は、中小企業などによる生産性向上に寄与するサービス開発やプロトタイピング、設備投資を支援する補助金であるが、精緻な事業計画の準備が必要となるため、相応の対策が必要になる。

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新規事業助成金の種類

では新規事業助成金にはどのような種類があり、運用されているのだろうか。

種類①創業助成金

東京都中小企業振興公社が提供する新規事業助成金である。

京都内開業率の向上を目指し、創業希望者への着実な支援を図るためのものだ。
都内で創業予定の個人、または創業後5年未満の中小企業者のうち、指定の創業支援を利用している者を対象に、創業初期にかかる経費の一部を助成する。
助成対象経費は、借料・広告費・器具備品購入費・産業財産権出願・導入費・専門家指導費・従業員人件費などだ。
助成率は経費の3分の2以内で、補助金額は100〜300万円である。
東京都内での開業が条件であり採択率は20%前後と言われており、他の補助金よりは採択率は高くない。

種類②キャリアアップ助成金

厚生労働省が提供する新規事業助成金である。

有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者といった非正規労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や賃金面での処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して支給される。
キャリアアップの取り組み内容によって7つのコースに分かれ、コースごとに条件や人数・支給金額などが異なっている。

新規事業を立ち上げて間もない創業期には、スタッフを育てなければならず、後にキャリアアップを図る際に利用できるだろう。
採択率も創業助成金ほど低くないため、雇用を計画している新規事業の場合は検討してみてはどうだろう。

種類③地域中小企業応援ファンド

中小機構・都道府県・地域金融機関などが一体となって資金を拠出し、作られた官民ファンドである。

ファンドの運用益により、地域活性化事業を行う事業主に資金援助する。
各地の農林水産物や伝統技術を活用した、商品開発・販路開拓にかかる費用が助成対象だ。
都道府県ごとに様々なファンドが存在し、新規事業が採択されれば支援が行われる。
支給額は各ファンドの方針によって様々であるため、金額や条件は一概に言えないが無利子貸付のファンドも多いため一度各地域での応援ファンドを調査してほしい。

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新規事業補助金の種類

次に、新規事業補助金の種類を見ていこう。

種類① IT導入補助金

中小企業者・小規模企業者が、自社にITツールを導入する際の費用の一部を賄う補助金である。
補助対象として4つの枠が設けられており、各枠でITツールの種類や機能要件が異なる。補助額や補助率も経費の区分や、導入するITパッケージの内容によって様々である。
支援機関に経営課題や課題解決のためのITツールを相談後に決定し、IT導入支援事業者の支援のもと、申請に必要な情報を提出する。審査を通過した場合、ITツールを導入・活用して補助事業を実施するという流れになっている。

種類②ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

新事業の開拓や生産ラインの増強、サービス向上などに向けて取り組む中小企業者・小規模企業者を対象に、革新的サービスや試作品の開発・生産プロセスの向上のための設備投資にかかる費用を補助する。

「一般型」「グローバル展開型」「ビジネスモデル構築型」「低感染リスク型ビジネス枠」の4種類があり、補助率や支給額の上限に差がある。
精緻な事業計画の準備が必要となるため、相応の対策が必要になるため、事業計画を立てた経験がない場合はサポートが必要になるだろう。

種類③小規模事業者持続化補助金

商工会議所地区で事業を営む小規模事業者を対象に、販路開拓や業務効率化に向けた取り組みに対し交付される補助金である。
新商品陳列棚の購入や広告作成費、展示会や商談会への参加費用など、補助対象が幅広い。
補助率は経費の3分の2で、補助金額の上限は原則50万円だ。

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新規事業助成金を利用するメリット

新規事業助成金を利用すれば、様々な恩恵を得られる。

メリット①返済義務がない

助成金には返済義務がない。
これは通常、新規事業を始める際、資金繰りが最大の課題となるため大きなメリットになる。
金額が少なくとも開業資金の一部でも自己資金以外から賄えれば、リスクを最小限に抑えられる。

メリット②自社の収入として扱われる

助成金は法人税を計算する上では、収入扱いになるため、雑収入としての収益が得られる。
そのため助成金を受けた企業は事業の運転資金として活用できるだけでなく、業務改善するICTツールの導入や新規事業のための人材雇用などにも活用できるメリットがある。

ただし、法人税においては課税対象となる。そのため黒字決算となれば法人税の支払が必要になる。

メリット③支給額が比較的大きい

新規事業助成金の支給額は100〜1,000万円規模に渡る。
支給額が比較的大きいため、例えば設備投資が必要な新規事業を始める上では、助成金は大いに役立つことは間違いない。

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助成金や補助金を申請する際に気を付けたいこと

助成金や補助金を申請する際には、次の3つのポイントに気をつける必要がある。

応募期間が限られている場合があること

助成金や補助金には申請期間が設けられており、指定の期日までに申請を行わなければその後の申請が不可能になる。
応募期間は1年のうち1〜2ヶ月ほどのわずかな期間に限られるため、気づいたときに申請期間を過ぎている場合には、たとえ支払いが必要な出費が予定されていても助成金への申請はできない。
なかには二次募集の機会を設ける自治体や企業も存在するが、1年に1度のみの申請しか受けつけていないケースも少なくない。
募集期間を過ぎてしまった場合は翌年の申請期間を待つことになるが、必ずしも翌年以降継続的に募集が行われる確証もないため、早めに準備をして申請に備える必要がある。
申請書類や手続きの準備をしたのにも関わらず申請期間を逃してしまった場合、金銭面でのダメージは大きいため、事前に申請期間についての確認を十分に行うことが重要である。

必ず採択されるとは限らないこと

助成金や補助金に申請すれば必ず採択されるわけではなく、各種制度のなかでもメジャーな助成金である場合にも応募から採択まで進める応募者は全体の約3割に満たない。
補助金として申請できる金額が高額にのぼるものや、募集の対象を幅広く設定している助成金では、さらに応募競争率が激化する。
採択率が高くない場合、いかに審査を通過できるかが重要なポイントになる。

採択されるためには漏れなく必要書類を提出することや、綿密な事業計画書を作成し助成金の採択を行う自治体や企業に信頼性の高さを示す必要がある。
事業計画は助成金申請のほか、実際に事業を進めていくうえで便利なものでもあるので、助成金申請を機会に腰を据えてじっくりと取り組むことがおすすめである。

金銭の支払いは後払いの場合が多いこと

助成金や補助金の申請が採択されても、すぐに支払いが行われることは少なく、基本的に支払いは後払いで行われる。
とくに補助金については実施された事業内容をもとに金額が変動する場合も多いため、採択されても気を緩めず事業によって成果を得るためのアクションを引き続き行う必要がある。
補助金や助成金が採択されても、支払いまでに時間を要したせいで破産してしまう事態に陥らないように、事業を実行する際には費用に余裕をもって取り組むことが肝心である。

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まとめ

新規事業の立ち上げ時にかかる初期費用は、助成金や補助金を利用して賄うことで、返済の義務がなくリスクや不安を軽減できる。
国や各地方自治体では独自の助成金・補助金制度を設けており、要件を満たせば受給されやすいものもある。
募集要項にしっかり目を通し、要件に該当する場合は、期日を守って必要書類を正確に用意しよう。

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この記事の監修者

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株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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