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ブロックチェーンとは何か|利用可能なビジネスや解決できる課題5つの事例

                   
-Tech(X-Tech)
公開日:2018.04.08更新日:2018年4月11日

ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨が日増しに注目されることで、これら仮想通貨の普及を支えている重要技術である「ブロックチェーン」への関心期待が高まっている。

しかし、多くのビジネスマンにとって、「ブロックチェーンとは何か」という理解が足りていないため、ブロックチェーンをどの様にビジネスに活かしていけばよいかと思案している人も少なくないだろう。

ここでは、ブロックチェーンの特徴や仕組みを簡単に説明するとともに、今後の利用が期待されるビジネス領域や解決が可能な経営課題などを紹介していこう。

ブロックチェーンとは、ビットコインの『仕組み』のこと

まずはじめに、ブロックチェーンとはビットコインなどの取引データを扱う技術であり、ビットコインそのものを指しているわけではない。

取引データつまり履歴情報を「トランザクション」と言い、いくつかのトランザクションが格納された一連の塊を「ブロック」と呼ぶ。台帳の1ページが、この1ブロックに当たるとイメージしてほしい。この1ブロック当たりにつき、大体100〜1,000くらいのトランザクションが入っている。

そして、ブロック同士が繋げられて保存された状態が「ブロックチェーン」だ。

ブロックチェーンには、過去に発生した取引データのすべてが含まれることが特徴だ。

例えば、ビットコインでは2009年3月から始まった取引以降のすべての取引履歴が保存されている。

ブロックチェーンがセキュアだと言われる理由「ハッシュ」

ブロックは、「ハッシュ」と呼ばれる関数で暗号化されている。ハッシュで暗号化された情報はハッシュ値と呼ぶのだが、ハッシュ値は不可逆的(一方通行)のため、一度暗号化されると二度と戻すことができないという特徴を持つ。

例えば、「2018年3月12日に田中さんに2万円送金」という取引データ(トランザクション)を暗号化すると、「2d8f3785495eaccd34・・・」といった風にハッシュ値に変換される。取引データが少しでも違うと、ハッシュ値は全く違うものになる。

ブロックチェーンでは、ブロックがハッシュ値で暗号化されているだけでなく、それらが数珠つなぎになっていることが、改ざんされにくい要因の一つとなっている。

ブロックチェーンに新たなブロックをチェーンする方法

ではこれまでのブロックチェーンに新たなブロックを繋げる場合はどうしたらいいのだろうか。

ブロックとブロックの間は特別な「キー」で結ばれている。このキーを見つけることは、スーパーコンピューターを駆使してもとても大変な作業なのだが、一度そのキーさえ見つかれば、新たなブロックは正しい情報となる。

そのため正しいキーさえあれば、モバイル端末のようなコンピューターでも取引ができるようになる。

キーを見つける作業「マイニング」

仮想通貨では、このキーを見つけるために、膨大な試行錯誤を行って正しいキーを見つけた人へ仮想通貨を渡すということをしている。正しいキーを見つける作業を「マイニング」と言い、世界中で何千何万というパソコンを並べて、競ってマイニングを行う企業も登場した。

なぜ競うかというと、キーをみつけられるのは、各ブロックでたった1名だからだ。そのため電気代ができるだけ安いところにマイニングの工場を立てて、競い合って見つけることが起きた。

ブロックチェーンが銀行の驚異と呼ばれる分散型システム

この様にブロックチェーン技術は、原則的に「ネットワークに参加している全員によって共有・管理されること」を前提としている。

「仮想通貨が、銀行の脅威になる」と言われているのは、金融機関のシステムが中央集権的なシステムであるのに対して、ブロックチェーンを使った金融システムは分散システムだからだ。

ブロックチェーンの特徴、メリットとデメリット

ブロックチェーン最大のメリット:耐改ざん性

ブロックチェーン技術は、ネットワーク参加者で共有するため改ざんによる不正がとても難しいという点がある。この「耐改ざん性」こそが、ブロックチェーン技術の最大のメリットと言っても過言ではない。

耐改ざん性を維持するためには、分散共有・管理が必要になる。その理由は、仮に改ざんするためには取引に参加している全てのブロックを過去も含めて改ざんしなくてはならないことになる。それが事実上不可能に近いことが耐改ざん性を担保している、とも言える。

また分散処理を行うため、システム全体で大きな障害が起こりにくいこともメリットとして挙げられる。

デメリット:取引に時間がかかる

不正防止の観点で有効なブロックチェーンだが、デメリットもある。

いま最も普及しているブロックチェーンである仮想通貨は、取引履歴を10分ごとにブロック化してネットワーク参加者と合意形成されるため、取引が決まるまでに時間がかかるというデメリットがある。これは、中央集権的なシステムではないからこその課題と言える。

ブロックチェーンで有望視されるビジネス、解決できる経営課題

これまで述べた様に、ブロックチェーン技術は、改ざんが極めて行いにくい技術である上に、何よりビットコインに代表される仮想通貨の普及によって、技術検証が急速に進んでいることがビジネス活用にとって大きな意味を持つ。

技術検証という視点では、ブロックチェーン技術のレベル向上と有効活用を目的に生まれたコミュニティHyperledgerが、世界中で技術の確率に向けて、活発に協力しあっている。

現在、活動が行われているコミュニティは、大きく3つ存在する。

  • Hyperledger fabric :IBMが主要開発元となっているプロジェクト
  • Hyperledger Sawtooth Lake:インテルが主要開発元になっているプロジェクト
  • Hyperledger Iroha:日本のスタートアップであるソラミツ株式会社が主導するプロジェクト

これらプロジェクトで開発されたソースコードは、関心があれば、無料で世界中の技術者が自由に活用したり、改修したりできる。技術面では、実は非常にオープンな技術である。

こうしたブロックチェーン技術は、仮想通貨以外にも例えばこんな分野・用途・目的での利用も期待されている。

1.権利証明等に関する業務負担の軽減

ブロックチェーンは、中央集権的な管理者を不要としながらも、耐改ざん性が高いため権利証明や署名証明にも有効だとされている。

  • 行政などが実施している土地の登記
  • 特許権利や車の所有権などの届出管理

例えば、こうした場面で使用することが考えられる。つまり、ブロックチェーン技術を導入することで、手続きの効率化ができる。

また耐改ざん性に加えて、至るところで必要とされる本人確認や本人証明にもブロックチェーン技術は有効だと言われている。

2.仲介者が不要の買手と売手の直接取引やシェアリングの促進

ブロックチェーンを利用することで、信頼性の高い資産証明や本人確認ができるため、これまでその信頼をサポートしてきた仲介事業者をキックアウトすることができる。

例えば、物々交換のサービスや、シェアリングサービスでブロックチェーンを使うことで、仲介事業者なしで直接取引ができる。

シェアリングカーの最大手UBERは、中央集権システムで手数料を稼ぐビジネスだが、2013年にイスラエルで創業されたLa’zoozは、地域コミュニティが所有する交通手段を相互に提供することをサービスにしようとしている。つまり、UBERをさらに発展させた分散サービスを目指している。

3.取引の自動化の促進

ブロックチェーン技術には、過去のトランザクションを全て紐付ける特徴があるため、複数の関係者の間で契約や履行を行うサービスでは、その恩恵を受け自動化を加速させることができる。

例えば、申込→契約→利用→支払い→回収などの一連の取引がある場合は、ブロックチェーンと自動化技術を組み合わせることで、取引全体のコストや時間を短縮できる。

IoTとブロックチェーン技術を組み合わせてレンタカーサービスを作れば、申込から車輌の返却までの業務を自動化できるだろう。車にセンサーを搭載すれば、「利用の開始・終了の時刻や走行距離」などの情報から更に細分化した価格体系の提供もできるはずだ。

4.高度なトレーサビリティの実現

ブロックチェーンでは取引情報がすべて記録されるため、単一商品や食料品などのトレーサビリティ(追跡可能性)だけでなく、原材料や部品から最終消費まで全てを追跡できる様になる。

例えば、製造業の製造工程にブロックチェーン技術を活用すると、原材料の利用から、各工程の作業データ、出荷そして消費まで、改ざんが困難な状態で自動的に記録できる様になる。どの商品がどの工場のどの機械で、いつどのように製造されたかが明確になり、商品に問題が発生した場合ではその原因の追究もしやすくなるだろう。

5.生産や流通の最適化を劇的に低コストで実現

大手製造業では、非常に大きなIT投資を行うことで、生産工程の各作業に関する情報を統合的に管理し分析しているが、こうしたシステムもブロックチェーンを利用することによって低コストでの実現が可能になる。

例えば、ブロックチェーンなら各生産工程の仕掛品の在庫量や作業時間、担当者など全てを記録することが容易なため、最適化を分析するためのデータを取得しやすくなる。その結果、仕掛品の在庫量が削減するとともに余計なエネルギーや人件費などのコストも減少するはずだ。

「ブロックチェーンとは何か」のまとめ

ブロックチェーンはIBMやインテル、そして日本のベンチャー企業によって、急速に「使える」技術になってきている。

耐改ざん性に優れているだけでなく、取引データをチェーンで保有できる点や障害にも強い点などを考えれば、仮想通貨以外にも、既存システムの中で活用されて行くことは間違いない。

直近では、権利証明や身分証明、売手と買手の直接取引、シェアリング、取引の自動化、高トレーサビリティ、生産や流通の最適化といった「今もあるけど手間がかかっている仕事」ではブロックチェーンの利用が進むだろう。

ブロックチェーン技術の特徴を活かせば、新たなビジネスの開発や既存事業の課題解決に役立つはずだ。

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この記事の監修者

監修者の写真

株式会社フィンチジャパン 代表取締役

高橋 広嗣

早稲田大学大学院を修了。
野村総合研究所経営コンサルティング部入社。
経営戦略・事業戦略立案に関するコンサルティングを実施。
2006年に当社を創業し現在に至る。
以来、一貫して事業開発プロジェクトとスタートアップ投資を行っている。
対外活動も積極的に行っており、顧客満足を科学した結果を発表したり、宣伝会議講座では事業開発の講義も実施している。

出版

半径3メートルの「行動観察」から大ヒットを生む方法

PR Times記事

https://prtimes.jp/main/html/searchrlp/company_id/53478>

ZUU online記事

https://zuuonline.com/authors/d7013a35

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